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ホリエモンが大反対した「ヴィーガン給食」は本当に悪なのか

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前回に引き続き、『完全菜食があなたと地球を救う ヴィーガン』(KKロングセラーズ)を読んで考えたことを書いていきたいと思う。

 

採食が健康に良いことは前回のブログで触れたが、それだけでなく、生産に多大なエネルギーを要する畜肉の生産を抑えることは、気候変動対策のうえでも有効だ。

 

この本によれば、こうした観点から、2009年には元ビートルズポール・マッカートニーが「ミートフリー・マンデー」(毎週月曜日にを肉を食べない日にする)を提唱。以来、この流れは次第に広がり、2019年にはニューヨーク市内の公立校約1200校すべてで、毎週月曜日はベジタリアン給食が提供されていたという。ブルックリン自治区長としてこの動きをサポートしてきたエリック・L・アダムス氏(現・ニューヨーク市長)は、自身がヴィーガン食を取り入れて2型糖尿病を克服している。

 

ミートフリー・マンデーは、米ミシガン州知事も支持。カナダのケベック州、ベルギーのケント市やドイツのブレーメン市は、週1ベジデーを制定した。世界的なスポーツブランド「プーマ」は本社食堂(ドイツ)で月曜日を菜食の日にしている。2019年には、ドイツで国際NPO「プロベグ」が指導したヴィーガンスクールの給食への取り組みに、国連が健康と環境に良い影響を与えるとして「Climate Action Award(気候行動賞)2018」を授与した。

 

本の中で次々と紹介されるこうした事例を見ると、まだ一部の先進的な都市の動きに過ぎないとはいえ、日常に菜食を取り入れる動きは世界で急速に進みつつあることがわかる。

 

ひるがえって日本を見ると、2021年11月に朝日新聞社「GLOBE」の記事が、東京都内の公立小学校が2カ月に1回のペースで「エヴリワン・ヴィーガン給食」を始めたことを紹介している。公立校では初の取り組みだというが、インターネット上で「個人の思想の押しつけだ」などという批判が相次いだ。

 

この話題については、起業家の堀江貴文氏がツイッターで「マジでウンコだな」「そうやって舐めてると奴らはどんどん肉食に関与してきますよ。。」「私は別に愛煙家じゃないけど、タバコ吸う人いますごく肩身狭いでしょ? 蟻の一穴ってヤツです。私は肉食文化を無くしたくないので些細なことでも声を上げ続けます」などと、猛批判を展開。それを「東スポ」がネットニュースにし、そこにまたコメントがつくという流れで、ネット上での反対論が展開された格好に見える。

 

堀江氏やそれに同調する人々の批判のポイントは、ヴィーガン給食は「思想の押しつけ」であり、いずれ肉食の禁止を強制されることにつながるのではないか、というあたりにありそうだ。

 

もし本当に肉食文化自体を全否定するような動きになるなら、確かにそれは乱暴すぎると思う。でも、この給食はあくまで2カ月に1回の頻度であり、ここを「蟻の一穴」にして全給食を菜食にするなんて考えていないだろう。そのあたりは、記事にある発案者の校長の話をよく読めば明らかだと思う。堀江氏らの反応は極端すぎると思うし、いまだに「ヴィーガン=過激な宗教」という旧式の価値観でしか物事を見ていないように思う。

 

子どもの頃からヴィーガン食を経験しておくことで、「必ずしも毎食肉を食べなくてもいいんだ」「肉がなくても美味しく、栄養バランスのとれた食事をとることができるんだ」ということを実感させることが出来るわけで、私は有意義な試みなのではないかと思う。

 

ヴィーガンベジタリアンの人口を増やすというよりは、通常の食生活を保ちながら、全体として肉食の頻度や量を減らして菜食の割合を増やすという変化が、我々の健康上も、気候変動対策上ももっとも現実的であり、有効なのではないかと個人的には思う。

 

だから、「ヴィーガン給食」はもっと広まったほうが良いと思うが、「思想の押しつけだ」という批判にはちゃんと意味を説明し、疑念を抱かせないよう細心の注意を払う必要があると思う。人々の採食に対する見方が変わり、感情的にならない冷静な議論ができる環境が整っていくことを願ってやまない。

 

【今回紹介した本】

 

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