豆腐づくりは「ピッコロ大魔王」と「神様」の分離なのか
シンプルな自家製豆腐のレシピ
ほぼ毎日、大豆のお弁当を食べるなど豆食にハマっている昨今の私。ならばと、大豆加工品の代表とも言える豆腐を家でつくることに挑戦してみた。
すでに多くのレシピや動画がネットに出回っているので、作り方についてはざっと触れる程度にする。
①乾燥大豆を水に一晩くらいつけて戻す。
②戻した大豆をつけておいた汁と一緒にミキサーにかけて、ペースト状にする。
③ペースト状の大豆を火にかけ、10分くらい煮込む
④煮込んだものを木綿の袋に入れて、水分を搾りとる。とれた液が豆乳、残った固形分がおから。
⑤豆乳を約80度まであたためて、にがりを入れる
⑥15分ほど置いて冷まし、ちょっと固まったところを穴の空いた容器にとって水を切りながらさらに冷ます
⑦数時間待つと、固まって豆腐の出来上がり
以上。レシピの通りつくってみたのだが、⑤〜⑥のにがりを入れるところにコツがいるようで、完全な固形ではないおぼろ豆腐みたいなものが出来た。
それでも、味はなかなかのもの。豆とにがりだけで他には何も入れていないのに、まったく違う味と食感の食べ物が生み出されることに感動した。
意外と高いおからの栄養価
豆腐をつくってみて気づいたのは、豆乳を搾り出した後に残るおからが、けっこうなボリュームになることだ。
このおから、ただの搾りかすと思うなかれ。食品成分表で調べてみると、かなりの栄養を残していることがわかる。
豆乳とおからの100グラムあたりの主な栄養価を比較すると、下記のようになる。
豆腐(木綿)‥エネルギー73kcal.、たんぱく質7.0g、脂質4.9g、炭水化物1.5g、水分85.9g
おから(生)‥エネルギー88kcal、たんぱく質6.1g、脂質3.6g、炭水化物13.8g、水分75.5g
なんとなく、タンパク質など豆の主要な栄養分をエキスとして抽出したのが豆腐、というイメージだったが、これを見ると、半分くらいの栄養はおから側に残っていることがわかる。
ちなみに、大豆そのものの栄養はこんな感じ。
大豆(ゆで)‥エネルギー163kcal、たんぱく質14.8g、脂質9.8g、炭水化物8.4g、水分65.4g
ピッコロ大魔王が神様と合体して完全体になったように、豆腐とおからの元々の姿である大豆が、栄養価的にはいちばん優れていることがわかる。
この問題を解決するには豆腐とおから、両方を全部食べればいいわけだが、残念ながら私の場合、おからそのものはそんなにたくさん食べられたものではなく、悪くなるのも早いのでいくらか廃棄せざるを得なかった。
手間はかかるけど「エース級」の価値
豆腐づくりには多大な手間とエネルギーを必要とする一方、栄養的な面では加工前の大豆に劣る。そう考えると、豆腐は一種の「ぜいたく品」であるとも思えてきた。
とはいえ、豆腐を否定する気なんてまったくない。そんな不遜なこと、出来るわけがない。手間をかけて生み出した加工食品によってバラエティ豊かな味を楽しめるからこそ食事が楽しくなるのだ。
今後、人類に菜食中心の食事が今より普及するためにも、豆そのものよりも気軽に料理に使いやすい豆腐は「エース級」の食品だろう。ここは、普段の生産はおとなしくプロの「お豆腐屋さん」にまかせて、こちらは完成品を味あわせていただくに限る、と思った。
と、何当たり前のこと言ってんの!という結論かもしれないが、何事も自分で作ってみると、より実感と確信が湧くというもの。今後、豆腐をいただく時は「神様」を味わうと思って、ありがたく頂戴しようと思う。
【豆腐作りの動画はこちら】