大豆ミート市場の最先端は「生タイプ」 トップバリュの「大豆からつくったミンチ」を食べてみた
トップバリュが2021年春から販売する「生」タイプの大豆ミートにトライしてみた。まだまだ流通量は少ないようだが、お味は問題なく、普及の可能性は大いに感じた。今後の課題として感じたのは値段。リアルな肉より安くなるかどうかが、大豆ミート普及の分岐点になるのではないだろうか。
まいばすけっとで見かけた「生」の大豆ミート
イオンのプライベートブランドであるトップバリュ製の大豆ミート製品、「大豆からつくったミンチ」を、家の近所のまいばすけっとで購入した。
この製品、植物性たんぱく質を中心に原料を植物性のものに置き換えたVegetiveシリーズの中の一つで、2021年3月に発売されたという。
今まで、まいばすけっとにたまに陳列されているのをたまに見たが、買おうと思って店に行くと並んでいないことが多く、今回、数ヶ月くらい経ってようやくゲットできた。どうも、少なくとも私の住む東京都足立区においては流通量はそんなに多くないようだ。
この製品、オレイン酸含有量の多い3種の大豆を発芽させた「発芽大豆」が大豆中27.9%含まれているという。発芽大豆は通常の大豆よりうま味成分であるアミノ酸やアルギニンが多く含まれているとか。
まあこのあたりの情報は正直、どれくらい味に反映されているかは、比較対象になる商品もあまりないので、よく分からない。それくらい、「生肉」タイプの大豆ミートは珍しい。私の家の近所にある「ライフ」などのスーパーマーケットでは、少なくとも見たことがなかった。だから、画期的な一品だと思う。
普通のひき肉とほとんど変わらない食感
では、肝心のお味はどうだったのか。
今回の大豆ひき肉は、キーマカレーをつくるために使ってみた。
ざっとフライパンで炒めてみた感じ、適度にねばりけがあり、普通のひき肉と料理中の感覚はほとんど変わらない。
ただ、成分表を見ると「増粘剤(メチルセルロース)」とあるので、ねばりけについてはその辺りの効果なのだろう。
お味は、今回はスパイスの効いたカレーだったこともあり、普通の肉を食べているのと、ほとんど違いは感じられなかった。つまり、うまい。
肉特有の香りや風味はないのだろうが、それも、意識していないと気がつかないかな、と思う。食感は、ひき肉そのものだ。
では、このトップバリュの「大豆からつくったミンチ」を今後も食べたいと思ったか。
味という意味ではイエスなのだが、問題は値段だ。
普及のためには、豚ひき肉よりも安くなってほしい!
今回買ったパックは111グラムで153円。100グラムあたり138円と表示にある。これでは、豚ひき肉や鶏ひき肉と、ほとんど値段が変わらないのだ。
大豆ミートはあくまで肉の代替食品であり、味の面ではまだまだリアル肉に劣る、というのが大方の意見だろう。
そんなわけで、リアル肉よりと明らかに安い、という状況になって初めて、大豆ミートは普及するのではないかと思う。その点、「大豆からつくったミンチ」も、100グラム100円を割るくらいまで安くなってほしいものだ。
もちろん、値段と味以外にも、大豆ミートには「肉よりも健康に良い」という利点はある。でも、健康面の利点だけでは、「おいしいものが食べたい」という人々の行動を変えるには弱いんじゃないかと思う。ましてや、地球温暖化対策などという崇高な理由でリアル肉より大豆ミートを選ぶ人は、残念ながらもっと小数派だろう。
そんなわけで、「大豆からつくったミンチ」が100グラムあたり100円を切るまで安くなることを待望する。おそらく、もっと需要が増えて大量生産できるようになったり、もっと低コストな生産方法が確立するなどしたら、それは可能ではないか。何せ、原料である大豆をつくるコストは、牛肉、豚肉、鶏肉を生産するよりも安い。そのことは、生の大豆や豆腐の安さを思い浮かべれば明らかだ。
健康志向や脱炭素社会への転換が今後の世界の潮流だとすると、生の大豆ミートが他のスーパーマーケットでも当たり前に売られ、牛肉、豚肉などとともにたんぱく源の選択肢の一つとなる未来は、そう遠くないことと思う。今後も「大豆からつくったミンチ」を見かけたらちょいちょい買うようにして、そうした流れが加速するように応援していきたいと思う。
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