発想転換の踏み台

エコでお得な新たなライフスタイルを研究します

「肉の代替物」なんかじゃない。初めて「ベジタリアン専門インド料理屋」に行って驚いたこと

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【サマリー】

東京・上野御徒町にあるベジタリアン専門インド料理屋「ベジキッチン」を初訪問した。「野菜カレー」には何となく味気ないイメージがあって注文したことがなかったが、まず、メニューの豊富さにビックリ。味も肉入りカレーに負けぬほど美味しかった。仏教とともに数千年の歴史を持つインドのベジ料理の奥の深さに脱帽し、一気にファンになってしまった。

自炊だけじゃく「外食菜食」に初トライ

菜食中心の食事へと転換することは、自分の健康にも、地球の気候変動問題の解決にも役に立つ。そんな考えの元、肉食を断つとは言わないがなるべく量を減らす「肉食減量主義(リデュースタリアン)」的なライフスタイルに挑戦してはや数カ月。

 

これまでは自炊中心だったが、見聞を広めるため、初めて外食で「ベジタリアン料理」を掲げる店にランチしに行ってみた。

 

私が訪れたのは、東京・上野のJR御徒町駅近くにあるインド料理屋「ベジキッチン」。佇まいは普通のインドカレー屋と何ら変わらず、お客さんも普通に昼休みにランチを食べに来た会社員が中心という感じ。

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この店が他のカレー屋と違うのは、肉を使った料理が一切ないこと。チーズは使われていたり、ラッシーを出してくれたりするので、乳製品はアリという立場のようだ。

 

メニューを見て驚いたのは、いわゆる「カレー」だけでも思ったより多くの種類があること。レンズ豆のスパイシーカレー「ダルタルカ」は、ああ「ダルカレー」のことか、と思ったものの、ジャガイモとカリフラワーのトマトベースのカレー「アルゴビ」、ナスをペースト状になるまで細かく刻んで作ったカレー「ベガンバルタ」、豆腐とグリーンピースのカレー「豆腐マタル」…これまでの人生で聞いたことのない料理名がどんどん登場することに興奮してしまった。

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これまでもインドカレー屋のメニューで「野菜カレー」とか「豆カレー」を見たことはあったが、何となく物足りないイメージがあって、注文したことはなかったんだけど、実は、私が思っているよりずっと奥深き世界だったようだ。

 

南インドの野菜カレー「サンバール」の味に感動

ランチタイムだったため、注文できるカレーはランチメニューからで、よくわからなかったので適当に「ラジャママサラ」と「サンバール」の2種類のセットを注文した。

 

運ばれてきたのは、見た目は普通と変わらぬナン付きカレーセット。さて、お味は……。

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うまいです。「サンバール」は南インドの野菜カレー、というか、現地の人はカレーとは呼ばず、「サンバール」という名の野菜とスパイスのスープ。これが、野菜が良いダシになっているのか甘味があって、とてもさわやかで奥深い味がする。

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一方の、「ラジャママサラ」はラジマ豆のカレー。日本語で「小豆マサラカレー」と書かれていたが、ラジマ豆は英名「レッドロビア」、日本語では赤金時豆のことらしい。こちらも塩気のある濃厚な味がして、うまい。

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同じ野菜カレーでも、2つの味は全然違う。個人的には「サンバール」の味がおいしすぎて感動してしまったが、他のたくさんあるメニューも再訪して味わってみたくなった。

 

なにぶん初心者の感想なので、この分野に詳しい人には「何を今さら」ということかもしれないが、私は正直、これまで野菜カレーの世界をなめていた。これはただの「肉の代替メニュー」なんかじゃなく、そういうのを抜きにしても単純に美味しいし、奥深い世界だ。

 

お釈迦さま以来の菜食の歴史を持つインド料理の底力

ちょうど今読んでいる『人類はなぜ肉食をやめられないのか』(マルタ・ザラスカ著)という本に書いてあったのだが、紀元前から紀元後にかけての時代、西洋ではギリシャの哲学者ピタゴラスが、東洋ではインドで仏教の開祖・釈迦が菜食主義を掲げた。

 

ピタゴラスの主張は異端視され、バックアップしてくれる権力者も現れず普及しなかったが、釈迦の方はマウリア朝のアショーカ王が帰依したことで仏教は普及し、同時に菜食主義も広まった。そもそも、肉の代替となる豆が西洋ではインドほどに収穫できなかったことも、この違いの背景にはあるという。

 

ともあれ、そこから数えても2千年にわたる菜食の伝統があるインド料理。菜食メニューが洗練されていることに何ら不思議はない。

 

と、そんな歴史の妄想に思いをはせてしまうほど、インドベジ料理との出会いは鮮烈だった。このジャンルは、これからも掘り下げてみたい。というか、他の種類のベジカレーを早くまた食べにいきたい。