復帰50年の今年、沖縄を描いた唯一の大河ドラマを復活させてほしい
今週のお題「復活してほしいもの」
いま、復活して欲しいもの。それはNHK大河ドラマ「琉球の風」(1993年)です。
戦国時代末期から江戸時代初頭、薩摩の侵攻で苦境に陥る琉球王国が舞台。近代琉球の発展に尽くす主人公・啓泰(東山紀之)と琉球舞踊家の弟・啓山(渡部篤郎)の兄弟を中心にストーリーが展開していく、というもの。
沖縄を舞台にしているというだけでも唯一無二だけど、大河ドラマ唯一の半年作品だったり、テーマ曲である谷村新司さんの曲「階ーきざはしー」が歌詞つきの歌だったりと、色々イレギュラー尽くし。
古い大河ドラマ、ものによってはDVD化されていたり、「NHKオンデマンド」の配信で見られたりするんだけど、この作品はどちらにもなっていなくて、ずっと「幻の作品」状態。
自分はこの時代の大河がとても好きで、特に91年の「太平記」、93年7月~の「炎立つ」の2作品に愛着が深い。
この2作品に共通するのは、権力側から見た「まつろわぬ者」を描いている点だと思う。
「太平記」の足利尊氏は鎌倉幕府を倒して室町幕府を開いた後、後醍醐天皇(南朝)と対立したことで南北朝時代を到来させた。建武の新政を潰して天皇に弓引いたということで、戦前は「逆賊」扱いされていた人物だ。
「炎立つ」は、東北地方が舞台。前九年の役、後三年の役といったマニアックな戦乱を舞台に、「大和」に侵略される「蝦夷」の末裔である安倍氏らの運命を描いている。
「炎立つ」の一つ前の作品であり、同じく大和に侵略される側を描いた「琉球の風」も、この系譜に連なっていると感じる。
時の天皇、あるいは大和民族そのものを「敵」とし、戦わざるをえなかった人々の側の事情。それを正面から描くことは、大和民族である大多数の日本人にとっては、「見たくないもの」を見せられるという面もあるだろう。そんな「見たくない」歴史を堂々と描いたところに、これらの作品の凄さがあると思う。
そして、こういう作品を作れた時代が、バブル崩壊後とはいえ日本が経済的にもまだまだ元気だった時期だったことも感慨深い。あの頃の日本には、今よりも多様な考えを受け入れる余裕があったのではないか。
ということで、そんな意味を持つ「琉球の風」の復活を願ってやまない。同趣旨の意見は「NHKアーカイブス」サイトの「琉球の風」のページのコメントにも多数書き込まれていたので、NHKさんもそろそろ視聴者の声に耳を傾けてほしい。今年は沖縄の本土復帰50年という記念の年。沖縄への国民の理解をより一層深めるという意味も込めて、NHKオンデマンドで配信していただけないでしょうか(BSプレミアムは契約したくないので、「BSプレミアムで再放送決定!」とかはご勘弁願いたいですが……)。
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