デニムパンツ264円の衝撃。古着を買うことが、財布にも地球にもエコな理由
吉野家の牛丼以下の値段で入手した「絶対にシワにならない仕事着ズボン」
去年の春、家から自転車で行ける距離にあるリサイクルショップ「トレジャーファクトリー」で、デニムパンツを買った。
50%引きのセールだったこともあって、お値段は、なんと税込み264円!
いやいやいや、安すぎるでしょ。吉野家の牛丼より安いじゃねーか!
GAP製でいわゆる「ファストファッション」だけど、デニムだからそれなりに丈夫だし、黒だからジーパンって感じの見た目でもない。私はこれで仕事に行っている。
それまで仕事着はチノパンがメインだったが、横着な自分はどうしてもシワシワにしてしまい、見た目が情けなくなる。だったらしわにならないデニム素材じゃ!というわけだ。この読みは当たって、その後さらに同じようなデニムパンツを買い足し、アイロンいらず生活を満喫している。
副産物として、ミシンで裾上げの技術も習得!
ただ、この買い物にはもうひと手間かかった。さすがにこの値段で裾上げサービスは含まれていないので、自力でやる必要がある。妻にミシンを借りて、やり方を教わりながら生れて始めて自分でズボンの裾上げをした。
チャコペンで印をつけて、裁ちばさみでジョキッと切って、端っこを折り畳んでミシンで1周縫う。厚手の生地だからちょっと苦労したけど、30分くらいかけて完成。まあ、やればできる。というか、ミシンに触ったのは小学生以来か。おかげで一つ、裾上げという新技術を習得する機会を得られたんだから、さらに得しちまった!
2020年に節約生活に目覚めたことで、近所の「トレジャーファクトリ―」や、古着専門の「セカンドストリート」に足を運ぶようになった。
どちらもチェーン店。品揃えが豊富で、全然まだまだ使えそうな服がそろっている。新品では高くて手が出ないような服も、ここならお得な価格で入手できる。お金のない大学生の頃から、古着をもっと活用していれば良かった!!と、後悔してしまうくらい素晴らしいスポットだ。これからの人生では、おおいに活用させてもらおうと思っている。
ちなみに、古着がお得なのはお財布にとってだけじゃない。
マイクロプラスチック問題の解決のためにも、もっと古着文化を
最近、地球環境に大きな影響を与えるプラスチック問題について学習した。『プラスチックの現実と未来へのアイディア』(高田秀重監修 東京書籍)や、『プラスチック・フリー生活』(シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ著、服部雄一郎訳、NHK出版)といった本を読んで知ったことがある。
ポリエステルやアクリルなどの石油由来の化学繊維とは、すなわちプラスチックである。この繊維は洗濯のたびに小さな小さな破片となって洋服からはがれ落ち、河川に流れ、やがて海に達する。プラスチックだから、自然に帰ることもない。
その微細な粒子を魚が食べ、魚の体内に蓄積される。その魚を食べた鳥の体内にも蓄積される。その鳥を食べた・・というふうに、食物連鎖でめぐりめぐって人間様の口の中にもプラスチック片が入ることになる。いわゆるマイクロプラスチック問題だ。
これを防ぐためには、オーガニックコットンや麻、絹といった天然素材の服を選び、化学繊維の服はなるべく新たに生産しないのが最善の策だ。だが、次善の策として、すでに生産されてしまった化学繊維の服を中古で買うほうが、新品で買うよりはマシだという。新品の服に比べるとマイクロプラスチック剥離のペースがひと段落しているからだ。
もちろん、古着でも洗濯のたびにマイクロプラスチックは剥がれ落ちるので根本的な解決策にはなっていないが、そもそも生産してしまった化学繊維の服をすぐに捨ててまた新品をつくるよりは、服は中古で流通する、という文化を応援して育てがほうが、幾分かマシな世界になっていく気がする。
ということで、後段はやや歯切れの悪い話となってしまったが、それは完全菜食主義の「ヴィーガン」に対する「肉食減量主義(リデュースタリアン=肉は食べ続けるけど食べる量は減らす)」と同じで、じわっと緩くマシな選択肢を選んでいけたほうが実現可能性は高いはず、ということでご理解いただきたい。
ちなみに、264円で買ったデニムパンツのタグを見てみると、スリランカ製で、「コットン98%、エラスタン/スパンデックス2%」。化学繊維であるエラスタン/スパンデックスはポリウレタンで、ゴムのような伸縮性があるという。
確かに履き心地はいいが、こうした化学繊維に頼らないと、どれくらい実感値として不便になるのかは知ってみたい。今後は、100%天然素材の服を入手して、長く大事に使う、という行動パターンも構築してみたいと思っている。
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