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「鬼は外」でよみがえる、かつて「鬼」だった側の言い分

今週のお題「鬼」

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今週のテーマは「鬼」。きっと、節分だからだろう。

 

鬼というと、最近、絵本「空からのぞいた桃太郎」とかが話題になって、桃太郎の方が侵略者で、鬼は実は被害者だったんじゃないか、っていう論が話題になった。

 

これ、私も昔からずっと思ってたことで、ほんとそうよな、と思った。節分も、どこか似た感じがある気がしてあんまり好きな行事じゃない。

 

子どもの頃の思い出で、忘れ難いことが二つある。

幼稚園のころ。お散歩にいこうと近所の道をひとりで歩いてたら、知らない男の子の4人組が立ち塞がった。

 

「ここはオレたちの基地だ。絶対通さないぞ!」

 

相手側は自分より一つか二つ、年上だったと思う。とてもかなわない、と思った私はその場に立ちすくんでしまったが、子どもたちは容赦なく襲ってきた。

 

「エイ、トウッ!」

 

彼らは、その頃テレビでやっていた戦隊ヒーローものの主人公になりきっていた。「怪人」扱いされた私は押されたり、蹴られたりと、ちょっとした「リンチ」のような仕打ちを受け、バタバタと手を振り回して抵抗したことを覚えている。その時、彼らのひとりが叫んだ芝居がかったセリフが、今も心に刻まれている。

 

「クソー、負けないぞ。みんなで力を合わせれば、正義は絶対勝つんだ!」

 

1対4で人を迫害しておいて、これである。いくら子どもでも、ひどくない? 結局、私は泣きながら走って逃げ出して難を逃れたのだが、子ども心に「正義ってなんなんだよ!」と、えらい理不尽を感じたものだ。

 

もう一つは、私が通っていた幼稚園の思い出。

 

当時、うちの幼稚園の男の子たちの間では「トランスフォーマーごっこ」が流行っていた。

 

トランスフォーマーは、当時放送されていた大人気ロボットアニメ。正義のロボット軍団サイバトロンと、悪のロボット軍団デストロンの戦い、という物語だ。

 

当然、子どもたちも二つの軍団に分かれるのだが、なんと、私1人が悪の軍団デストロン、私以外の全員が正義の軍団サイバトロン、というチーム分けが毎回繰り返された。

 

休み時間になった瞬間、みんなが一斉に私に攻撃してくる。私はダッシュでジャングルジムの最上部に逃れ、その「城」に立て篭もってひたすら時間が過ぎるのを待つ。それを20人からの「正義の軍団」が包囲し殲滅する、という「遊び」が、来る日も来る日も繰り返されたのだった。

 

ここまで読んでお気づきのことと思うが、私はいじめられっ子だった。気が弱くて人を攻撃できず、やられたらやられっぱなし。人とのコミュニケーションも運動も大の苦手。両親とも空気が読めない変わり者の部類で、社会から孤立するタイプだった影響もあったのか、自分自身も、周囲になじめず浮いてしまう「異質」な子どもだったと思う。この性格のせいで、幼少期から少年期のある時期まで、かなり苦労した。

 

こんな体験があるから、やっぱり、節分には複雑な思いになる。「鬼は外」とみんなにマメをぶつけられて退散させられる鬼の側に同情してしまう。「福は内」と言って幸せにヌクヌクと過ごしている家庭の子どもたちを、外から物欲しげにじっと眺める鬼。とてもかわいそう。

 

鬼は、何も悪いことしてなくない? マメを撒く側の方が、強くて数も多くない?

 

そんな「豆まき」の構図は、よく目を凝らすと、今も社会の至るところに存在しているんじゃないか。子どもの「いじめ」だけじゃなく、大人たちの間でも。

 

かつて「鬼」だった者としては、「鬼」の側が強くなる必要もあると思う。かつての自分も、弱かったからやられっぱなしになった。それは今でも悔しいし、あれから自分も努力して変わった。少しは強くなったし、「鬼」にされないような振る舞いを身に着けた。でも、もしまた何かの拍子に「人間たち」のターゲットにされたら、きっと防ぎきることはできないだろう。もっと必要なのは「人間たち」の側が考えをあらため、いわれのない攻撃をやめることだ。

 

異質な誰かを勝手に「悪」と決めつけて豆をぶつけるのではなく、鬼も輪の中に入れてあげて、一緒に豆を食べたほうがみんな幸せになれるんじゃないか。そうでないと、排除された鬼のうちの一部は、恨みを募らせ、いつか社会に牙をむくかもしれない。

 

このブログでも書いている通り最近、大豆をよく食べるので、なおさらこう思う。豆は誰かにぶつけるものじゃなくて、食べるものだ。

 

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