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失われた超文明? 千葉にあった巨大屋内スキー場「ザウス」の思い出

今週のお題「冬のスポーツ」

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冬のスポーツなんてほとんど縁のない人生を送ってきた。でも、記憶を辿ったら、高校生の頃に友達と1度だけ行った「ザウス」のことを思い出した。

 

ザウス(SSAWS)」は、千葉県船橋市にあった屋内スキー場。1993年のオープンから2002年の閉鎖まで、9年間にわたって存在した。当時は世界最大規模だったらしく、湾岸地域に巨大な坂道のような建造物がそびえ立つ様は、なかなか壮大な光景だったのを覚えている。

 

建物の中は人口雪で満たされていて、本物のスキー場みたいに、ちゃんとリフトがある。施設下部は初心者コース、上の方は傾斜がきつい上級者コースと別れていて、初心者コースで「ボーゲン」で練習していたらだんだん滑れるようになって、調子に乗って上級者コースに挑戦したら、急傾斜で腰が引けてコケまくった。

 

客寄せのためか、途中から「手ぶらでスキー」をキャッチフレーズにしていて、板からウェアまで、全部貸し出してくれたのもありがたかった。スキーなんて縁もゆかりもなかった千葉県在住の高校生にも、「冬のスポーツ」を身近に体験させてくれた「ザウス」。こんな施設があることが、県民としてちょっと誇らしかった。

 

ところが、「ザウス」は経営的には失敗だったらしい。計画されたころはバブル景気に加え、映画「私をスキーに連れてって」もブレイクしてスキーブームだった。だけど、施設がオープンした93年には、すでにバブルが崩壊し、不景気の波が日本に押し寄せていた。スキーブームも終焉し、一時はスノーボードが流行ったもののそれも落ち着くと、「ザウス」は観客不足で毎年20億円の赤字を計上するようになり、ついに潰れてしまった。現在、その跡地は「イケア」になっている。

 

これまでの人生、自分を取り巻く科学文明がどんどん「進歩」し、暮らしが便利になる体験をしてきた。後楽園球場は東京ドームになり、東京タワーよりもどデカい東京スカイツリーが完成し、東北新幹線は北海道まで延びた。家の黒電話もプッシュホンになり、携帯電話が出てきて、ついにはスマホになった。

 

そんな右肩上がりの進歩の流れに、ポツリと取り残された悲しき例外「ザウス」。私たちの生活から、「気軽に友達と遊びにいける首都圏の屋内スキー場」は20年前に失われたまま、戻ってこない。このジャンルだけは過去より不便になってしまっているわけで、なんだか不思議だ。過去の超文明が現代人にはもう再現できないという、「ナウシカ」や「未来少年コナン」の世界っぽい。

 

ちなみに、「屋内スキー場」自体は絶滅したわけではなく、埼玉県所沢市メットライフドームのすぐそばに「狭山スキー場」という屋内スキー場があるらしい。でも、ザウスよりはかなり小さいようで、「ザウス」の醸し出していたワクワク感とはかなり違うんだよなぁ。同じ方向性で言うと、現在、世界最大の屋内スキー場は中国・ハルピンにあるという。世界2位は中東ドバイ。やっぱり、経済的にも勢いがある国でないと、ああいう巨大施設を維持するのは困難なんだろうか。

 

復活してほしい、なんて言うと先週のお題と同じになってしまうが、「ザウス」があったら冬は楽しいだろうなあ、とも思う。「千葉愛」が深いと言われるZOZO創業者の前澤友作社長あたりが、お金出して建て直してくれないかなあ。宇宙も良いけど、「ザウス」も良くないですか、社長。

 

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